研究課題
昨年度開発した、2価のBiをもつY2O2Biのエピタキシャル合成を可能にした粉末前駆体ベースの還元性固相エピタキシーでは、薄膜成長は可能なものの、試料表面にある粉末残渣のために、物性測定ができなかった。そこで、今年度は多層膜を前駆体とする固相エピタキシーを開発した。この手法の開発の結果、結晶性が高く平坦な薄膜の作製が可能になり、物性測定が可能になった。今回のエピタキシャル薄膜試料は、過去に報告のある粉末多結晶よりも低い抵抗率を示し、極低温強磁場での電気伝導測定により、Bi単原子層に由来する強いスピン軌道相互作用を伴った二次元電子伝導を示すことがわかった。以上の結果をACS Applied Materials & Interfaces誌のCommunication論文として発表を行った。また、この固相エピタキシーを用いて、Y以外の希土類元素をAサイトにもつ物質も作製可能になった。たとえば、Ce2O2Biエピタキシャル薄膜の合成にも成功し、過去に報告のない電気特性および磁化特性を測定することができた。その結果、類似物質では報告のない、f電子磁性を反映していると考えられる特異な電気伝導特性を示すことがわかった。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 4件、 招待講演 3件)
ACS Applied Materials & Interfaces
巻: 7 ページ: 24998-25001
10.1021/acsami.5b07825