研究課題/領域番号 |
26600094
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研究機関 | 長岡技術科学大学 |
研究代表者 |
安井 寛治 長岡技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70126481)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 触媒反応 / 高エネルギー水分子 / ラバールノズル / 圧力センサー |
研究実績の概要 |
本研究課題は、触媒反応を用いた新しいCVD技術を構築するため白金触媒上での水素・酸素の燃焼反応により生成した高温水分子ビームのエネルギー状態を解析しノズル構造を最適化することを目的とするものである。触媒反応容器で生成しラバルノズルを通して真空チャンバー内に噴出する高温水分子ビームのエネルギー状態を測定することを通してノズルを中心とした装置構造を最適化することを目的にしており、初年度は以下の研究結果を得た。
(1) 触媒容器のノズルから噴出される高温のH2Oビームの運動エネルギーを検出する圧力センサー構造を検討し、Si基板上にMEMS作製技術により製作したSiメンブレン共振周波数検出タイプの圧力センサーが適しているとの結論を得た。そしてCVD装置の構造に合わせホルダーを含めた圧力センサー全体の構造、サイズを決定し発注、年度末に作製し納品して貰った。 (2) ノズル内部に微細な熱電対を挿入しノズルから噴出される水分子ビームの温度測定を行い、開口角による断熱膨張の度合いの違いにより開口角の大きなノズル程、より早く温度が低下することが分かった。 (3) 並行してクラスタービームの理論を適用して水分子ビームのスケーリングパラメータとそれをもとに平均クラスターサイズを計算したところ、スケーリングパラメータは200以下であり、平均クラスターサイズは1以下と評価された。即ち、クラスターは生成されていないとの結論を得た。この事から金属原料ガスとの反応時、水分子と有機亜鉛ガスは単分子同士で衝突、反応しており生成される酸化亜鉛プリカーサも単分子に近い事が推察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
熱電対を用いたH2Oビームの温度の評価は一通り実施出来、ノズル開口角によってビームの冷却温度に差異が生じる事を評価出来た。しかし運動エネルギーを測定するための圧力センサーをCVD装置内にセットしたところ、寄生容量が大きく圧力センサー本体の静電容量値の100倍以上になった。そのためビームの噴射による微妙な容量変化をとらえられておらず、現在寄生容量の低減が課題となっている。
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今後の研究の推進方策 |
H27年度は前年度の予備実験のデータをもとに2年目の本格実験に取りかかる。円錐型ノズルについては、前年度測定した開口角90°と60°のものに加え、50°、75°のノズルも用いて測定をする。まず圧力センサーの測定系に発生している寄生容量を100分の1までに低減させビームの噴出による静電容量の差異が評価出来るよう改造する。そしてCVD装置内のノズル吹き出し位置(開口部出口)に近い位置から基板ホルダーの設置位置(ノズル開口部から20-50mm)までの範囲で圧力センサーをセットし、圧力を測定する。併行して内部を鏡面仕上げしたノズルを用い様々なガス流量、背圧の条件でA面サファイア基板上に膜堆積を行い、得られたZnO膜の結晶性・配向性、発光特性(室温および低温フォトルミネッセンス)、電気伝導特性(Hall効果測定)を調べることでZnO膜の結晶性、不純物の種類、欠陥の密度を推定し、水分子ビームのエネルギー状態との関係を調べる。
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