本研究の目的は、超省エネ化に資する次世代ダイヤモンドパワーデバイス実現のために必要なダイヤモンドウェハの大面積(2インチ以上)・低コスト化に関する基盤技術の開発である。具体的には、ダイヤモンドのヘテロエピタキシャル成長によりその実現を目指す。 今年度は、ダイヤモンドヘテロエピタキシャル成長のための基板の作製に取り組んだ。当初、SiC熱分解法による多層グラフェン上に単結晶Ptを堆積させた積層構造体をダイヤモンドヘテロエピタキシャル成長用基板として考えていたが、SiC熱分解法により得られる多層グラフェンは、リッジが形成されることが分かり、そのため、そのグラフェン/SiC上にPtの単結晶化が困難であることが分かった。そこで、ダイヤモンドとの格子不整合が極めて小さく、かつグラフェンの形成が可能なNiのダイヤモンドヘテロエピタキシャル成長用基板としての有効性を検討した。その結果、多結晶Ni基板上に多結晶ダイヤモンド膜を成長することに成功し、かつダイヤモンド/Ni界面に析出したグラファイトにより、そのダイヤモンド膜は自然剥離により自立化可能であることが分かった。 今後は、Ni基板を用いた単結晶ダイヤモンドのヘテロエピタキシャル成長に取り組む。
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