研究課題/領域番号 |
26600106
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
AN TOSHU(安東秀) 独立行政法人理化学研究所, Kim表面界面科学研究室, 研究員 (70500031)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 表面・界面物性 / スピンエレクトロニクス / 走査プローブ顕微鏡 / 光物性 / 計測工学 |
研究実績の概要 |
走査トンネル顕微鏡(STM)発光によるNV中心ナノダイヤモンド粒子を用いたスピン検出へ向けて、先ず、表面にNV中心ナノダイヤモンド粒子を分散させ、原子間力顕微鏡(AFM)によりナノダイヤモンド粒子を識別し、その後、AFM深針先端へナノダイヤモンド粒子を取り付ける方法の確立を目指した。その結果、当初計画していた、深針-ナノダイヤモンド粒子-基板間にバイアス電圧を印加することによりナノ粒子を深針へ取付ける方法ではなく、深針を400度程の高温で加熱することでナノダイヤモンド粒子を深針へ安定に接着できることを明らかにした。この手法を用いて、予め単一スピンを含有するナノダイヤモンド粒子を光学的に選別しておいたナノダイヤモンド粒子を制御して深針先端へ取り付けることが可能になる。 並行して、pタイプのボロンドープダイヤモンド深針と、nタイプのリンドープダイヤモンド薄膜基板の作成、入手について検討した結果、ボロンドープダイヤモンド深針は市販品を入手可能であること、nタイプダイヤモンド基盤は入手、作成が難しく、nタイプシリコン基板を代替とすることとし実験系の準備を進めた。並行して、スピンシグナルの変調のためのマイクロ波の導入と磁場印加機構(小型電磁石)発光検出のための光学系、アバランシェフォトダイオードを用いた光検出系装置の構築を終了した。次年度にこれらのプローブ顕微鏡の制御装置と光検出器装置を組み合わせて走査トンネル顕微鏡(STM)発光によるNV中心ナノダイヤモンド粒子からの光学的なスピン信号検出の実現を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定していた、nタイプダイヤモンド基盤の入手、作成が難しいことが判り研究計画を修正する必要が生じたため。
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今後の研究の推進方策 |
早期に光学系装置、走査プローブ装置、深針、試料の準備を整え、NV中心ナノダイヤモンドからのSTM発光を成功させる。その後、マイクロ波と磁場を印加してスピン状態を変調し、蛍光強度のマイクロ波依存性からスピン信号を読み取り、このナノダイヤモンドを深針先端へ取付けスピンプローブとする。観測対象である試料に、先ず、基板表面に鉄やコバルトを蒸着して作成したナノスケールの磁性体島を用意し、この表面をNV中心スピンプローブを用いて走査し、磁性体からの漏洩磁場を観測して単一NV中心走査磁場センサーとしての能力を評価する。さらには、超高真空中で制御して良く規定された表面上で上記の磁性島を作成して用い、STM発光によるスピン検出の高い空間分解能を実証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
超高真空中で動作する小型電磁石装置の設計、発注が遅れたこと、人件費をが発生しなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
超高真空用小型電磁石(平成27年8月納入予定)を導入し、パートタイム補助員を雇用する(人件費・謝金)
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