走査トンネル顕微鏡(STM)発光によるNV中心ナノダイヤモンド粒子を用いたスピン検出へ向けて、先ず、表面にNV中心ナノダイヤモンド粒子を分散させ、原子間力顕微鏡(AFM)によりナノダイヤモンド粒子を識別し、その後、AFM深針先端へナノダイヤモンド粒子を取り付ける方法の確立を目指した。その結果、当初計画していた、深針-ナノダイヤモンド粒子-基板間にバイアス電圧を印加することによりナノ粒子を深針へ取付ける方法ではなく、深針を400度程の高温で加熱することでナノダイヤモンド粒子を深針へ安定に接着できることを明らかにした。この手法を用いて、予め単一スピンを含有するナノダイヤモンド粒子を光学的に選別しておいたナノダイヤモンド粒子を制御して深針先端へ取り付けることが可能になる。 並行して、pタイプのボロンドープダイヤモンド深針と、nタイプのリンドープダイヤモンド薄膜基板の作成、入手について検討し、ボロンドープダイヤモンド深針を市販品から選定すること、nタイプダイヤモンド基盤は入手、作成が難しく、nタイプシリコン基板を代替とすることとし、実験系の準備を進めた。並行して、スピンシグナルの変調のためのマイクロ波の導入と磁場印加機構(小型電磁石)発光検出のための光学系、アバランシェフォトダイオードを用いた光検出系装置を用いて少数のNV中心を含有したナノダイヤモンドからの磁気共鳴信号の検出に成功した。
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