研究課題/領域番号 |
26600109
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
中嶋 誠 大阪大学, レーザーエネルギー学研究センタ, 准教授 (40361662)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | テラヘルツ波 / 応用光学・量子光工学 / 光物性 / 半導体物性 |
研究実績の概要 |
本研究においては、2台の周波数可変の外部共振器型半導体レーザーを用いて、高精度精密テラヘルツ波分光システムを構築し、それを分光やイメージング測定に応用していくことである。狭帯域なスペクトル特性をもつ外部共振器型半導体レーザーを用いることで、その2本のビート周波数として発生されるテラヘルツ波も狭帯域な特性が期待できる。また、外部共振器型半導体レーザーのフレキシブルな周波数チューニング特性により、広い周波数可変領域と俊敏なチューニング速度を有するテラヘルツ精密分光システムが構築可能である。2014年度は、波長の周波数ロック機構の改善および低温および磁場下での測定のための冷凍機への組み込みを行った。狭帯域の分光を行うためには、その光源自体が狭帯域であるだけでなく、その周波数安定性を高めることも重要である。そこで、我々は外部共振器を用いてPound-Drever-Hall法を導入し、アクティブにフィードバックを掛けることで光源周波数の安定化を行っており、その機構の改良を加えた。現状その改善によりスペクトル幅1.8MHzが得られており、その周波数安定特性についても、10分間の評価において、10MHzに抑えることに成功している。これまでのところ主に室温下において、狭帯域なスペクトルが得られるガス吸収分光において、その狭帯域特性が発揮できていることを確認している。 冷凍機への組込みにおいては、現在においてもつづけて取り組んでいるところである。冷凍機外より光ファイバーを介してレーザー光を取り込み、低温下で光伝導アンテナおよび検出器を組み込むことによりテラヘルツ分光を行う。テラヘルツ発生器の光伝導アンテナの調整機構を冷凍機外からも調整できるような機構を組み込むなど、システムの改良を行っている。 これらの成果については応用物理学会での発表を行った。今年度、国際会議にて発表する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、周波数安定システムの改良および冷凍機への設置を行い、概ね計画通りにすすんでいる。低温下での測定や、冷凍機への組込み状態での改良などは今後さらに詰めていく必要がある。今年度に測定と併せて進めていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、引き続きシステムの改良を行うとともにターゲットの測定に入る。ガスをはじめ、2次元半導体や磁性体、人工微細構造(メタマテリアル)等を対象として測定を進める。イメージング測定も試みる。2次元半導体については、すでに光領域においての光カー測定でのイメージング結果があるので、テラヘルツにおけるデータとの比較を行いたい。周波数可変狭帯域なテラヘルツ光の特徴を活かし、低温・磁場下における精密テラヘルツ分光を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定しいた購入品の納期が予想以上にかかることがわかり、その物や、その周りに使うことを計画していたものの手配が遅れる結果となり、使用計画にズレが生じた。その該当商品は、2015年4月に納品されている。
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次年度使用額の使用計画 |
冷凍機に使用するトランスファーチューブを手配し、上記に記入したようにすでに納入されている。この冷凍機まわりのものの手配関連等もすでに手配しており、当初の計画にほぼ近い形で使用の計画は進めている。
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