研究課題/領域番号 |
26600114
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
白川 晃 電気通信大学, レーザー新世代研究センター, 准教授 (00313429)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | レーザー / コヒーレントビーム結合 / マルチコアファイバー / モード同期 |
研究実績の概要 |
1. Yb添加19コアマルチコアファイバーを用いた能動モード同期レーザーの実験系を構築した。能動モード同期は音響光学素子による強度変調で実現している。しかし未だにスーパーモード選択が実現していない。波長分散により多くのスーパーモードがいろいろな波長で励振してしまうためと考えられる。
2. エンドシール自己イメージング法によるYb添加マルチコアフォトニック結晶ファイバーレーザーの位相同期評価法として新しいモード解析法を考案・実証した。レーザー光の一部をシングルモードファイバーを通し平面波参照光として、レーザー光の遠視野像と干渉縞を形成し、2次元フーリエ変換を行い干渉縞の空間周波数スペクトルを取り出すことで、電界分布や位相の情報を得、各スーパーモードの割合を算出する。これまで困難であったマルチコアファイバーレーザーのモード評価が可能となった。実際、観測したout-of-phaseモードの特徴を有したビーム形状についてこの方法で解析を行い、out-of-phaseモードが68%と算出できた。
3. 可飽和吸収体を遠視野に配置し強度の強いin-phaseモードのみ選択励振させるQスイッチ位相同期マルチコアフォトニック結晶ファイバーレーザーの最適化を行った。可飽和吸収体と反対側にアウトプットカップラーを配置することで、1.8倍のピークパワー向上、1.4倍のエネルギー向上を実現し、またストレール比によるin-phaseモードの評価が可能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
マルチコアファイバーを用いた時間領域スーパーモード選択の段階にまだ至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
Yb添加19コアマルチコアファイバーを用いて再生モード同期発振器を構築し、時間領域スーパーモード選択に挑戦する。温度制御でファイバー長を変化させて出力の空間モードの繰り返し周波数依存性を観測し、モデルとの整合性を評価検討する。 現有のYb添加19コアファイバーのモード分散と波長分散を既に整備済のCOMSOLによる有限要素法を用いて計算し、in-phaseモードやout-of-phaseモードと同じ繰り返し周波数を与える異波長高次モード解を抑制するための最適な波長フィルタ特性を検討する。 また本手法が困難な場合、開発済みの可飽和吸収体Qスイッチ位相同期マルチコアファイバーレーザーを位相同期モード同期に発展させる。in-phaseモードが遠視野で大きな強度を有することを用い、スイッチング速度の速い適切な可飽和吸収体を用いることでマルチコアファイバーレーザーの位相同期モード同期の実現を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験の進捗が遅れているため、次の段階のために必要な光学素子等の消耗品の購入が少なかったことによる。
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次年度使用額の使用計画 |
実験の遂行に必要なミラーやレンズ等の光学素子や、電気回路部品に使用する予定である。
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