研究課題/領域番号 |
26600118
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
岡田 龍雄 九州大学, システム情報科学研究科(研究院, 教授 (90127994)
|
研究分担者 |
中村 大輔 九州大学, システム情報科学研究科(研究院, 准教授 (40444864)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 微小共振器 / whispering gallery mode / ZnO / 微小球結晶 / 有機薄膜 / ヘテロ接合 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,n型酸化亜鉛 (ZnO) 微小球 (直径は数μm程度) とp型有機薄膜とのヘテロp -n接合を形成し,電気励起によりZnOマイクロ球内部のwhispering gallery mode (WGM) を利用した紫外レーザ発振を目指すことである。 26年度は,スピンコート法を用いてp型導電性有機薄膜をITO膜を付けたガラス基板上に厚さ50 nm~1 μm程度成膜した。有機物には,poly (3,4-ethylene- dioxythiophene):poly(styrenexulfonate) (通称 PEDOT/PSS)を使用した。 次に,ZnO微小球をレーザアブレーション法により作製した。作製したZnO微小球の直径は5-30 μmであった。作製したZnO球をp型GaN基板上に置いて,電気特性を測定したところ整流特性が得られるので,ZnO微小球はn型特性であると確認した。また,Nd:YAGレーザの第3高調波で励起して,WGMによるレーザ発振を確認し,光学的に高品位な球結晶であることも確認した, 次に,作製したZnO微小球を有機薄膜上に滴下し,顕微鏡下でマイクロプローブを用いて微小球を有機膜中に埋め込み,乾燥させて無機-有機ハイブリッドp -n接合を形成した。作製した試料について,マイクロプローブ電極を用いてp-n接合の電流-電圧特性を測定し,整流特性を観測することに成功した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
26年度計画では,スピンコート法を用いてp型導電性有機薄膜をガラス基板やプラスチック基板上に成膜し,その上レーザアブレーション法で作製したZnO微小球を配置して,無機-有機ハイブリッド接合を形成し,作製した試料についてマイクロプローブ電極をZnO球に接触させてp-n接合の電流-電圧特性を測定することを計画していた。 実際に,有機物にpoly(3,4-ethylenedioxythiophene):poly(styrenexulfonate) (通称 PEDOT/PSS)を使用してZnO微小球とのハイブリッド接合を作製し,接合の電流-電圧特性を測定して整流性を確認することに成功している。
|
今後の研究の推進方策 |
26年度には,ハイブリッド接合の作製にも成功したが,まだ作製技術が確立しておらず,また接合に流すことができる電流量もμAレベルで低い。そこで,27年度は,p型導電性有機薄膜に他の種類のものも用いて,有機薄膜の電気特性,ZnO微小球の電気特性などをそれぞれ個別に評価して,接合に流すことが出来る電流量が大きくなるように電気特性の改善を図る。また,薄膜の厚さ,微小球の直径,接合の面積など作製条件を種々最適化して,電気特性の改善を図る。最適化の後,電気励起による発光の実現を目指し,光励起によるレーザ発振のデータと合わせて,レーザ発振のための基礎を確立する。
|