研究実績の概要 |
本研究の目的は,直径が数マイクロメートル程度の酸化亜鉛 (ZnO)微小球と有機p型導電体とのハイブリッドヘテロ接合を実現し、電気励起による初めての微小球ZnOレーザーの実現を目指すことである。本年度は,以下のような成果が得られた。 レーザーアブレーション法によりZnO微小球を作製し、SEM, ホトルミネッセンス法 (PL), カソードルミネッセンス法 (CL) などによりその特性を評価した。その結果、CL像より微小球が多結晶体である可能性が示唆された。有機導電体として使用している有機物にはpoly (3,4-ethylene- dioxythiophene):poly(styrenexulfonate) (通称 PEDOT/PSS)を使用しているが、昨年度導電率が低いことが課題になっていた。そこで、エチレングリーコールを添加して導電率の大幅な増加を達成した。次に、予め製膜したPEDOT:PSS上にZnOマイクロスフィアを設置する方法、または作製したZnOマイクロスフィアの上からPEDOT:PSSの製膜を試みる2種類の方法でヘテロp-n接合を形成して、光・電気特性を調べた。その際、PEDOT:PSSの薄膜を基板上に作製する場合、基板にエキシマランプからの真空紫外光を照射して、有機液体と基板との濡れ性を改善するなどの工夫をした。 その結果、整流性を確認するとともに、エレクトロルミネッセンス (EL) を観測することに初めて成功した。さらに、一部の試料からは、ELスペクトルにおいてWGMモードによる共鳴効果も観察された。レーザ発振には至らなかったものの、今後ヘテロ界面の特性と構造の改良により、レーザ発振の実現性を示す結果が得られた。
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