研究課題
東北大多元研にて,一昨年度より評価を続けてきた多層膜ミラーの蒸着実験を行った.極紫外(XUV)用のSchwarzschild型集光ミラーでは,光学系を構成する多層膜凹凸面ミラー上の動径座標に依存して光線の入射角が変化する.このため,動作波長において高スループットを得るには,多層膜ミラーの周期長を入射角の変化に応じ制御し,ミラー全面でBragg反射をおこす必要がある(周期長分布制御).これらを実現するため,ミラー基板が自転・公転運動を行うマグネトロンスパッタリング装置に適用可能な,多層膜ミラーの周期長分布制御機構を開発した.Schwarzschild対物ミラーに必要となる回転対称な周期長分布を得るため,ミラー基板は成膜装置内で自転及び公転運動を行う.また.スパッタターゲットと基板間には遮蔽板を配置した.制御機構は多元研技術室と共同で開発し,マグネトロンスパッタ装置(アネルバSPL-500)に組み込んだ.制御機構の評価のため、異なる周期長分布を持つMo/Si多層膜ミラーを作製した.基板の公転運動は,成膜装置の配置を基に解析的に速度関数V(θ)を求め,公転軸のモータを駆動することで制御した.成膜後X線小角散乱により周期長のミラー面内分布を計測した.分布制御をしない場合、周期長は2次関数的に変化し最外周で2.2%減少した.この結果を基に速度関数を決定し,面内均一な周期長分布,および曲面ミラーに必要な2次関数的分布の試料を作製した。開発した制御機構により、0.1%の厚さ精度で周期長を制御できることが明らかになった.結果,アト秒パルス集光に最適化されたミラー成膜を行う事に成功した.
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Proceedings of the 15th International Conference on X-Ray Lasers
巻: 印刷中 ページ: -
Optics Express
巻: 24 ページ: 13276-13287
10.1364/OE.24.013276