研究課題
無機材質のみから構成される石英容器と高濃度オゾナイザを使って土壌を処理し、土壌特性(pH、有機物(元々含まれている土壌DNA)、アンモニア態窒素、硝酸態窒素、ミネラル、細菌)に対するオゾンガスの作用と経時変化および土壌中でのオゾンガスの拡散速度について調べた。オゾン処理により、土壌中の有機物の分解が進み窒素栄養であるアンモニア態窒素および硝酸態窒素は増加した。一方、土壌DNAやカビ、バクテリアは処理時間とともに分解されることがわかった。オゾン注入量がある閾を超えるとカビやバクテリアがほぼ存在しない殺菌状態に近くなることも確認できている。pHについては、オゾン処理直後に強い酸性を示すが、時間とともに回復することがわかった。約1週間程度で元のpHに戻ることがわかっており、植え付けのタイミングを最適化できる。上記のように、オゾン処理した土壌は、条件を最適化すれば、植物の育成に適した状態に変化する。よって、オゾン処理した土壌にえんどう豆や二十日大根を植えつけると、処理していない土壌に植えたコントロールサンプルに比べ、成長速度が速くなることがわかった。これは、根から吸収されるアンモニア態窒素および硝酸態窒素がオゾン処理により増加したためであると考えられる。オゾン処理により、植物の病気は抑制され、成長は促進されることから、農薬や化学肥料の使用量を軽減するための有効な手法の一つであると言える。
2: おおむね順調に進展している
オゾン処理は、殺菌だけでなく、窒素栄養生成にも寄与することがわかり、デメリットが少ないことから実験は予定通りに進捗している。
基礎研究で、オゾンの土壌処理の有効性が確認できたので、実際のフィールド実験を予定している。ビニールハウスでの拡散オゾン処理と植育観察実験を行う。
研究進捗状況が予定よりも少し遅れたため、購入予定物品を次年度に購入することとした。
次年度に、当該年度に行うはずだった実験と次年度に予定している実験を進めるにあたり必要となる物品を購入する予定である。
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IEEE. Transactions on Plasma Science
巻: 42 ページ: 3681-3686
10.1109/TPS.2014.2363653
巻: 42 ページ: 3706-3711
10.1109/TPS.2014.2350533
巻: 42 ページ: 3842-3846
10.1109/TPS.2014.2350000