研究実績の概要 |
電解質濃度が高く導電性の高い海水中でかつ20MPa程度の高圧中で再現性の良い放電プラズマを生成し、発光分光スペクトルの測定によるレアメタルの検出を目的に実験を行った。導電性の高い海水中での放電機構を解明するため、当初計画したプレナー型放電電極の試作に先立って、マイクロマニュピレータによって針-平板電極の電極間をミクロンレベルで調整し、常圧の大気中、純水中、および人工海水(3ASW, 10ASW)中での放電および発光分光測定を行った。 大気圧(常圧)下では人工海水中であってもマイクロギャップ間(10~60um)での放電開始電圧は純水や気体中とほとんど同じ数100V~1kVであることを確認し、マイクロギャップ中の放電によって比較的低電圧で放電プラズマの生成が可能であることを確かめた。ただし高い導電性によりマイクロギャップ間で10A近い電流が必要であることから、大電流を供給するためコンデンサの電荷をコイルを通して負荷にパルス的に供給するインパルスジェネレータと呼ばれる回路を用いて最大電圧約1kV、最大電流約20A、パルス幅約10usの電流パルスを生成し、海水中で再現性良く放電を生成した。 人工海水(10ASW)中プラズマの発光分光スペクトルでは主成分であるNa, Mg, Ca, Cl, H, Oに加えて電極材料から溶出したPtとPdの発光ピークが検知された。人工海水構成元素のうちS, K, C, Br, B, F, Srはこれまでのところ検出されていない。
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