研究課題/領域番号 |
26600138
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
笹 公和 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (20312796)
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研究分担者 |
末木 啓介 筑波大学, 数理物質系, 教授 (90187609)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 加速器質量分析法 / 量子ビーム / 炭素14年代測定 / レーザーアブレーション |
研究実績の概要 |
加速器質量分析法(AMS: Accelerator Mass Spectrometry)による炭素14年代測定が急速に普及しつつある。本研究では、国内初の導入となる多連装CO2ガス導入型負イオン源にレーザーアブレーションによる試料導入方法を組み合わせて、レーザーアブレーション放射性炭素14-AMSマッピング測定法(LA-14C-AMS)の開発に挑戦する。 平成27年度は、筑波大学に導入された6 MVタンデム加速器質量分析装置を用いて、グラファイト試料を用いた炭素14測定手法の開発と測定性能の初期試験を実施した。炭素14のAMS測定では、加速電圧5.0 MVにより、荷電数q = 4を用いて25.0 MeVでの試験測定を行った。AMS試験測定の結果として、マシンバックグラウンドは14C/12C比で2.4E-16を達成し、測定精度は0.4%となった。また、開発したCO2ガス導入型負イオン源を用いて、炭素量1 mgCのCO2試料から炭素14のAMS測定試験を実施した。12C-の最大ビーム電流値は、3.5μAを得た。CO2最適流量を1.6μl/minとして、14C測定精度は5.5%となった。またCO2ガスを用いた場合の14C/12Cバックグラウンドは、4.0E-14となり、2.0 pMC (31,000 yrBP)の測定性能であった。レーザーアブレーション装置については、CO2ガス導入型負イオン源と元素分析装置を組み合わせたシステムの概念設計を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
加速器の稼働が約1年半遅れて平成28年3月からとなり、本研究課題の炭素14の試験測定の実施が遅れた。しかし、本研究課題の要となる、6 MVタンデム加速器質量分析装置とCO2ガス導入型負イオン源の開発は順調に実施できた。また、炭素14の試験測定では、想定以上のバックグラウンド検出性能を達成した。なお、レーザーアブレーション装置については、まだ設計段階であり、元素分析装置への導入方式について検討が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
CO2ガス導入型負イオン源の測定試験を引き続き実施する。今後、レーザーアブレーション法を想定したμgオーダーの実試料の測定試験を実施する予定である。μgオーダーの微量CO2の場合は、サポートガスの使用が不可欠であり、Heガスの混合割合と流量の最適値を確認する。レーザーアブレーションにより抽出した試料は、元素分析装置での燃焼によりCO2を取り出す。元素分析装置からは、シリンジを使って一定流量でCO2をガス導入型負イオン源へ導入する手法を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究課題で使用する実験装置が平成28年3月より正式稼働した為に、年度をまたいで実験用消耗品を購入する必要があった。また、実験装置の稼働が遅れたため、試験的な炭素14測定について、外部機関に委託をおこなった。その為の必要経費を計上した為に次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
実験装置の稼働に関する消耗品と外部機関に委託した試験的な炭素14測定経費に使用する。
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