研究実績の概要 |
加速器質量分析法(Accelerator Mass Spectrometry: AMS)による炭素14年代測定が急速に普及しつつある。本研究では、国内初の導入となる多連装CO2ガス導入型負イオン源において、レーザーアブレーションによる試料導入方法について検討をおこない、レーザーアブレーション放射性炭素14-AMSマッピング測定法(LA-14C-AMS)の開発を試みた。 平成28年度は、全自動炭素試料処理装置に備わっている元素分析計(Elemental Analyzer)からCO2ガスをアンプル瓶に封入して、CO2ガス導入型負イオン源からの炭素ビーム引き出し試験と14C測定によるシステム性能確認を実施した。石筍などの炭酸塩試料から発生させたCO2中の14C測定において、オンライン測定の為のレーザーアブレーション-AMS用インターフェースとして利用可能となる。本研究では、最適CO2流量(~1.6 ml/min)と最大12C-カレント(~12μA)を決定した。CO2ガス導入型負イオン源を用いた1 mgCのIAEA-C7とNIST-HOxIIの14C測定結果は誤差内で推奨値と一致し、測定誤差は0.6%であった。また、CO2ガス導入型負イオン源における14Cバックグラウンドは、0.48±0.05 pMC (14C age: 42,900 yr BP)であった。LA-14C-AMSは、レーザーアブレーションで解離したCO2ガス試料を直接負イオン源に導入することで、煩雑な試料処理を排し、微量試料においても炭素14の直接測定が可能な手法となる。本研究成果により、レーザーアブレーションで解離したCO2ガス試料をCO2ガス導入型負イオン源の導入することで、直接的に14C測定ができる可能性を見いだした。
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