研究課題
本研究では、従来にない荷電粒子センサ機能を内包した機能性細胞培養ディシュの開発を単結晶CVDダイヤモンドを利用し実現した。細胞固定溝構造について、酸素プラズマを利用した反応性イオンエッチング処理を利用し、薄膜単結晶ダイヤモンド(3 mm × 3 mm 厚み 約 30μm)表面に細胞を導入可能な溝方構造( 2 mm × 2 mm, 溝深さ 25-27 μm)を形成した。ダイヤモンドの生体親和性について評価するため、ダイヤモンド表面での細胞の直接培養を試行した。 群馬大学重粒子医学研究センターにおいて、エタノール洗浄後にUV照射滅菌を行ったダイヤモンドを 6 well プレート底面に設置し、 2 mlの細胞懸濁液を加え、3日間以上の培養を行った。ヒト唾液腺由来腫瘍細胞(Human salivary gland adenocarcinoma, HSG)を同センター所定の手続きを経て導入し、一般的な細胞培養皿と遜色しない細胞増倍率を確認した。さらに同様の薄膜型ダイヤモンドの両端に薄い電極構造を形成し、溝部分に細胞を導入した状態での荷電粒子検出を行った。アルファ粒子照射下において、アルファ粒子起因のパルス信号を計測することに成功した。これらの結果により、本萌芽研究で新規に構築した細胞親和性放射線検出器が動作可能であることの原理実証がなされた。さらに集束プロトンビームなどの照射環境下での動作についてもその長期健全性が確認された。
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