研究課題/領域番号 |
26600148
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
黒田 隆之助 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測フロンティア研究部門, 主任研究員 (70350428)
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研究分担者 |
平 義隆 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測フロンティア研究部門, 研究員 (60635803)
豊川 弘之 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測フロンティア研究部門, 研究グループ長 (80357582)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | テラヘルツ / 小型加速器 / 超短パルス電子ビーム / 光ピンセット / 高性能レーザー / ラジアル偏光 |
研究実績の概要 |
今年度は、産業技術総合研究所のSバンド小型リニアック施設において、磁気パルス圧縮器を用いてキロアンペア級のピーク電流値を持つ高輝度・超短パルス電子ビームを生成し、2種類のコヒーレント放射(誘電体チューブからのコヒーレント・チェレンコフ放射とコヒーレント遷移放射)により、ラジアル偏光テラヘルツ光生成を実施し、生成を確認した。同時に、ラジアル偏光テラヘルツを集光することで焦点付近が、径方向電場に感度のある検波器によって計測するとドーナツ状プロファイルになることが確認できた。また、検出器周りの問題が多々あることがわかり、次年度以降の光ピンセット実現のための対策検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では、高出力のピーク強度を持つテラヘルツパルスを生成しているが、散乱パルスの多重回り込み等に起因する、もしくは、加速器による放射線ノイズや電磁ノイズが原因と思われるテラヘルツ検波器の多頻度故障があったため進捗が遅れてしまった。現在は散乱パルスを抑えるための対策等を検討している。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、検波器の多頻度故障対策を実施し、ラジアル偏光テラヘルツ光を集光した際に生成されるZ偏光電場を用いたテラヘルツ光ピンセットの原理実証を行う。集光点ではポインティング・ベクトルがゼロとなるため、微粒子に対してP偏光成分のみの光が照射されることになり、粒子表面でのフレネル反射係数が小さくなる。そのため粒子の散乱力が低減し、電場勾配による光引力のみが作用する極めて効率の高い光ピンセットを実現できる。
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次年度使用額が生じた理由 |
高出力のピーク強度を持つテラヘルツパルスを生成しているが、散乱パルスの多重回り込み等に起因する、もしくは、加速器による放射線ノイズや電磁ノイズが原因と思われるテラヘルツ検波器の多頻度故障があり、その原因を精査する必要があったため。また、加速器の不安定性による実験が計画通り行えなかったことにより、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、検波器の多頻度故障対策を実施し、ラジアル偏光テラヘルツ光を集光した際に生成されるZ偏光電場を用いたテラヘルツ光ピンセットの原理実証を行う。単色テラヘルツ光を用いる場合では、波長に応じた特定粒径の微粒子をピックアップ可能な光ピンセットとなることを実証する。広帯域テラヘルツ光を用いる場合では、集光点サイズが回折限界により波長依存があることを利用し、光放射圧の違いによって粒子径ごとに微粒子を整列させるテラヘルツ光クロマトグラフィの実験を行う。
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