研究実績の概要 |
平成27年度は平成26年度に続き (1) 現在の実装方式の性能評価, (2) アルゴリズムの改良, (3) GPU を用いたプログラム設計,を行う予定であった. (1)の性能評価については, 2015年7月に本研究費で購入した「静音ワークステーション一式」に含まれるGPUボード「K40」を用いたプログラムとでテストプログラムでの実行時間の比較を行った. 本研究のアルゴリズムで多数回評価される行列乗算を従来機種より1割程度高速に1024x1024行列乗算を行うことができることを確認した. しかし, 大幅な高速化には繋がらず, (3) の並列計算をまず先に実装することとした. (2) アルゴリズムの改良については, 中国人の剰余定理を用いるアルゴリズムを設計中であるが, 単純な方式に比べメリットがあまり無く, さらなる改良を検討中である. (3) については単純な GPU 利用では不十分であり, 100台規模のPCを並列に利用することのメリットを活かすべくプログラムを設計中である. また, 平成27年秋にアルゴリズムの自動微分に関する世界的権威である ドイツ・フンボルト大学の Andreas Griewank 教授が来日し, これを受けて本学での講演を依頼し区分的微分可能関数の自動微分に関する講演会を10月5日に実施した. この際の研究情報交換を下地として, 絶対値演算abs(x)を含むプログラムで定義される関数の x=0 における微分を系統的に実行するための処理系を試作し, テクニカルレポートとしてまとめた. 従来 Clarke Generalized Jacobian の要素を求めるだけに過ぎなかったアルゴリズムを, n次元空間で体積を持つ領域での Clarke Generalized Jacobian を計算するアルゴリズムに改良中である.
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