研究課題/領域番号 |
26610005
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
池田 保 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (20211716)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 保型表現 / 保型形式 |
研究実績の概要 |
平成27年度は局所体上の2次形式のグロス・キーティング不変量に関して研究を行った。これは室蘭工業大学の桂田英典との共同研究である。この研究を発展させ、2次形式のジーゲル級数がグロス・キーティング不変量とそれに関連する不変量で記述できることを示した。この研究に関しては2編の論文にまとめ、1編は現在学術雑誌に投稿中であり、もう1編もプレプリントとしてアーカイブで公開している。また、平成28年2月に数理解析研究所で開かれた保型形式シンポジウムで口頭発表を行った(桂田英典との共同発表)。 一方で平成27年度は教室の専攻長を務めたため、教室の仕事が多忙であり、出張を要する研究集会にはあまり出席できなかった。しかし、学生・共同研究者が研究集会に参加するための旅費は支給している。 また、2次の特殊線形群の被覆群の跡公式については平賀郁との共同研究でユニポテント元の寄与も含めて研究が進んでいて、現在論文を執筆中である。また、リフティングの問題に関して山名俊介との共同研究でシンプレクティック群のリフティングを一般化のエルミート型の管状対称空間を持つ古典群に一般化する研究を行っており、現在論文を執筆中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度は教室の専攻長の仕事で多忙ではあったが、グロス・キーティング不変量、ジーゲル級数、被覆群の跡公式、リフティングの問題などで研究は進展している。 グロスとキーティングがグロス・キーティング不変量を導入し、志村多様体のサイクルの交点数などの数論幾何への応用があることが示されたのは約20年前であるが、その後この問題はあまり進展してこなかった。今回の桂田英典との共同研究によりグロス・キーティング不変量の基本的な性質が確立し、さらに一般的な問題に応用が可能になったものと考えられる。実際ジーゲル級数についてはグロス・キーティング不変量で記述できることが明らかになった。さらに局所密度との関連も考えられる。このようにグロス・キーティング不変量の研究は大きく進展し、研究成果があったと思っている。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度以降もグロス・キーティング不変量、被覆群の跡公式、リフティングの問題などの研究に取り組む予定である。とくに2次形式のグロス・キーティング不変量と局所密度の関連について研究を進めてみたい。また、被覆群の跡公式についても共同研究者の平賀郁などと連絡を密に取りながら研究を進める予定である。 このような研究計画を遂行するため、秋に開催される白馬整数論オータムワークショップ、2月に数理解析研究所で開催される保型形式シンポジウムなどの研究集会に参加する予定である。また、5月にフランスで開かれる保型形式の周期と相対跡公式に関する研究集会、7月に台湾で開かれる汎アジア数論研究集会(PANT)などにも参加する予定である。また、余裕があれば関連する研究集会に参加する学生・共同研究者の旅費を支援する。 使い勝手の良いPCなどを購入して研究環境を整えることも必要である。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末に少額の残が発生したが、消耗品などで使い切ることはせず、次年度に繰り越すことにした。
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次年度使用額の使用計画 |
繰越金額は少額なので今年度の使用計画に大きな変更はない
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