研究課題/領域番号 |
26610013
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
二木 昭人 東京大学, 数理(科)学研究科(研究院), 教授 (90143247)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | アインシュタイン計量 / ケーラー多様体 / グロモフ・ハウスドルフ極限 / リッチ流 / 平均曲率流 |
研究実績の概要 |
正のケーラー・アインシュタイン計量の存在と K 安定性の同値性は Chen-Donaldson-Sun および Tian により証明が与えられた.その証明の重要なステップはグロモフ・ハウスドルフ極限として得られる特異ケーラー・アインシュタイン多様体の正則自己同型群が簡約可能であることを示すことである.この証明は Berndtsson 凸性を用いて証明された.一方,グロモフ・ハウスドルフ極限に対するスペクトルの収束は Cheeger-Coldong,本多正平らによって研究されていた.このことに着目して,リッチ曲率が下から有界な Fano 多様体の列のグルモフ・ハウスドルフ極限における,スペクトルの収束を研究した.まず, リッチ曲率が下から有界な Fano 多様体に対するコンパクト性定理を得た.次に,重み付きラプラシアンのグロモフ・ハウスドルフ極限での収束性を証明した.そして,極限がケーラー・リッチソリトンになる場合の正則ベクトル場全体のなす複素リー環の構造定理を得た.これは東北大学本多正平,東京大学斎藤俊輔との共同研究である.この研究を進めるにあたって,2015年7月に国際研究集会 Trends in Modern Geometry とThe 10th Pacific Rim Complex Geometry Conference を兼ねて東京大学大学院数理科学研究科とホテルサンバレー那須で開催した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
重み付きラプラシアンに関し,実多様体の Bakry-Emery ラプラシアンと Fano 多様体の自然な重み付きラプラシアンを非コンパクト多様体に拡張して比較することによって観察される顕著な違いを見出し,Birkhauser の Progress in Mathematics から出版した.また,Sugaku Expositions から Einstein metrics and GIT stability, II を出版した.
|
今後の研究の推進方策 |
本多正平,斎藤俊輔と行っているグロモフ・ハウスドルフ極限におけるスペクトル収束の理論を今後も継続して推進する.そのために,7月に Trends in Modern Geometry を東京大学大学院数理科学研究科で開催し,国内外の研究者と交流する.
|
次年度使用額が生じた理由 |
2016年3月に終了する予定であったグロモフ・ハウスドルフ極限に関する研究を3ヶ月延期した.
|
次年度使用額の使用計画 |
国内旅費として使う.
|