研究課題
可積分な半離散ベクトル型非線形シュレーディンガー方程式に対して、ソリトン理論における広田の双線形化法を用いて、明るいソリトンと暗いソリトンが共存するような一般的なソリトン解を構成し、それらの解がパフィアンによって表現されることを明らかにした。二成分半離散非線形シュレーディンガー方程式に対する1-明-暗ソリトン解および2-明-暗ソリトン解を明示的に与え、三成分半離散非線形シュレーディンガー方程式に対しては2-明-1-暗ソリトン解と1-明-2-暗ソリトン解の具体形を表示し、それらの挙動を解析した。また2-ソリトン解について各ソリトンの漸近挙動を解析した。アブロヴィッツ-ラディック方程式を時間離散化した全離散非線形シュレーディンガー方程式に対して、時間的に局在する構造を持つrogue wave解を、ソリトンの直接法を応用することによって構成した。グラム型行列式による一般的なブリーザー解の表示において、波数に関する極限をとり代数解に退化させることによって、双線形方程式に対する多項式解としてrogue wave解が与えられる。方程式が集束型の場合には、rogue wave解は正則な解であり、時間的空間的に局在した構造をもつ。一方、方程式が非集束型の場合には最低次のrogue wave解は、独立変数を連続変数とみなしたときには特異性をもつ関数となり、時間的空間的に局在した爆発を記述する。全離散の方程式のため、従属変数が有限の値を保ったまま特異性を越えて時間発展することが可能であり、発散した領域の内部を経過する解を与えることができる。これらのrogue wave解の代数的構造や解析的挙動を詳細に研究した。
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