研究課題
本研究課題の目的は、Lorentz 空間や Orlicz 空間など、実解析学に現れる様々な関数空間において新規に発見されつつある絶対的関数不等式に対し、その成立の背後にある未知の変分構造を捉え、新しく変分原理として整備・確立し、変分原理の視点から当該の関数不等式を統一的に理解し、偏微分方程式(系)への応用を探ることである。本研究課題の具体的な研究内容は以下の通りである。1.不定符号変分構造を持つ楕円型方程式系への Sobolev-Orlicz 空間を用いたアプローチ2.種々の関数空間における Trudinger-Moser 型不等式に付随する変分構造の解明3. スケール不変なハーディー型不等式とその応用、特に解の安定性理論との関係の解明研究計画最終年度の本年度において、研究代表者・高橋は、Trudinger-Moser 型不等式の研究に注力し、特に Adachi-Tanaka 型、Li-Ruf 型と呼ばれる、全空間 Trudinger-Moser 型不等式の変分法的研究を推進した。Trudinger-Moser 型不等式は、所与の関数の局所対数的特異性を指数可積分性の観点から測るものであるが、特に近年注目されている分数べきソボレフ空間における Adachi-Tanaka 型 Trudinger-Moser不等式について、空間次元が1次元の場合に、可積分性の指数の改良及び最良定数の達成可能性を示した。本年度、高橋は原著論文3本を出版、日本数学会講演1回、5回の海外講演を含む計12回の研究講演の実施のほか、7月には Mittag-Lefler 研究所(スェーデン)においてサマースクールを組織、またフロリダで開催された大規模国際研究集会 11th AIMS の際に分担者・和田出・石渡と共に Special Session を組織し、研究成果の公表及び研究交流の活発化を図った。
すべて 2017 2016 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (1件) 備考 (1件) 学会・シンポジウム開催 (2件)
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