カオス的遍歴現象は「複数のカオス的な状態を不規則に渡り歩き続ける高次元複雑現象」として知られているものの、確固たる数学的特徴づけを欠いた概念である。その数学的特徴づけの手がかりを得る目的で重要性質をもつミニマルモデルを解析した。そのひとつが間欠的性質をもつ2次元トーラス写像であり、x方向は拡大的な性質をもち、y方向はxの値によって拡大的であったり縮小的であったりするものである。それが生み出すダイナミクスは不安定次元の異なる周期点の共存と準周期軌道の存在が鍵となっていることを見出した。また、その研究過程で準周期軌道の存在に着目してその上で定義される関数のバーコフ平均を高速で求める手法を開発した。
|