研究課題/領域番号 |
26610035
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
西村 尚史 横浜国立大学, 環境情報研究科(研究院), 教授 (80189307)
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研究分担者 |
本田 淳史 都城工業高等専門学校, 一般科目理科, 講師 (90708611)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ウルフ図形 / 特異点論 / 結晶理論 / 視覚理論 / ペダル / no-silhouette / 双対ウルフ図形 |
研究実績の概要 |
平面内に限定してはいるものの、ウルフ図形と透視射影の新たな関係を得ることに成功した。具体的には、no-silhouetteを持つ平面曲線に対して、曲線の各点の接線を一様に一定角度回転させ、回転させた接線族の和集合の補集合を考察し、「この補集合の閉包は、ある回転角で必ず1点に退化すること」、「1点に退化するまでは、補集合の閉包は多角形には決してならないこと」などの発見が成果である。これは、平面内に限定しているとはいえ、結晶成長の一つの幾何学的モデルの興味深い現象とみなせ、論文としてまとめて既に発表済みである。また、この結果の口頭発表に関しては、9月に東北師範大学(長春、中国)で、11月にはバナッハセンター(ワルシャワ、ポーランド)において、それぞれ行っている。 また、西村とその学生である韓 呼和氏は、球面内でのウルフ図形とその双対ウルフ図形の対応について、幾何学的測度論の立場から調べる研究に着手し、翌年度4月に入ってから「球面内でのウルフ図形とその双対ウルフ図形の対応は等長変換である」という美しい結果を得ることができ、論文としてまとめることができた。この共同研究を推進するための情報収集を主な目的とし、韓氏を都城高専・東北師範大学に出張させた。 研究分担者である本田淳史氏は、7月28日から8月1日にサンパウロ大学サンカルロス校(サンカルロス、ブラジル)で開催された 13th International workshop on real and complex singularities において、本研究課題と関連する「CMC曲面の折り目特異点」に関する結果の口頭発表を行った。 さらに、本田氏は2月に横浜国立大学を訪問し、本研究の重要な基盤的概念である「ペダル」についての共通理解を整理するため、西村や韓氏と研究打ち合わせを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平面に限っているとはいえ、ウルフ図形と透視射影の新たな関係を得ることに成功している。さらに、翌年度4月に入ってからとはいえ、「球面内でのウルフ図形とその双対ウルフ図形の対応は等長変換である」という美しい結果を韓 呼和氏と共同で得ることができ、論文としてまとめることができている。これらのことから、おおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
9月に東北師範大学(長春、中国)で、11月にはバナッハセンター(ワルシャワ、ポーランド)において、本研究の一成果を発表したところ、いろいろと反響があり、本研究に関し海外との研究協力を活性化する機運が高まった。今後は、海外との研究協力に軸足を移し、まず平面上で得られた成果の高次元化にチャレンジしたいと思っている。サーストンによる「余次元1葉層構造の存在定理」が本質的に有用であることがすでに分かっており、また、ありえるべき定理の形も見えているところである。今後は細部を詰めて証明を完成させるべく研究を推進したい。 また、大学院生の韓 呼和氏とは、convex integrand がC1級であることとウルフ図形が狭義凸であることの密接な関係に当面は焦点を絞り、共同研究を推進したい。 尚、本田淳史氏は平成27年4月より平成28年3月まで「国立高等専門学校機構在外研究員」によりウイーン工科大学に行きその研究に専念する必要があり、本研究課題の分担者としての研究の遂行ができなくなるため、分担者の削除をすでに実施しているところである。本研究は上記のように国際共同研究に発展しつつあるので、分担者を削除しても研究計画の進捗・目的達成には支障はないと言える。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度途中で海外から注目されていることが判明し、次年度の海外との研究協力に軸足を移すべく研究の見直しが必要となったため。
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次年度使用額の使用計画 |
海外との研究協力を目的とし、海外出張に使用する予定である。
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