研究課題
平成26年度は、遠赤外線検出素子を評価するための測定系の構築を行った。クライオスタットや光源、温度計、光入射窓などは既存のものを活用し、検出器のマウント次具を製作して、システムを組み上げた。平成26年度までに作成した3種類のGe:Ga素子、および、2種類の高純度Ge素子(参照サンプル)に対して、ホール効果測定によって、3 K~300 Kの広い温度範囲で、キャリア密度と移動度を評価した。その結果、これらのGe:Ga素子の残留マイノリティ不純物濃度が、我々が従来の「あかり」衛星などの観測器に使用していた素子に比べて、約1桁低く、非常に良好なGe素子であることが確認された。また、これらの素子に対して、黒体光源を用いて赤外線絶対感度を測定した結果、これらのGe:Gaは光感度を有することが分かったが、電極で十分なオ―ミックコンタクトがとれておらず、電極形成の再プロセスを実施した。そのための電極評価素子を製造した。さらに、Ge:Ga素子に対して、赤外線フーリエ分光器を用いて波長20~200マイクロメートルにおける波長感度特性を評価するためのシステムを構築した。なお、各評価プロセスにおいて、ISASの共同研究者と打ち合わせを持ち、議論を重ねて作業を進めた。
3: やや遅れている
素子電極が極低温で十分なオ―ミックコンタクトが取れていないことが判明したため。平成26年度後半に、従来のAu以外にAlやSnを使った電極評価素子を試作し、試験を実施した。
Ge:Gaの電極処理方法を確立したのちに、表面活性常温ウェハ接合によって、Ge:GaとSiを貼り合わせ、試験素子を作成する。平成26年度に構築した試験システムを用いて、Ge-Si素子の遠赤外線波長感度特性などを調べ、期待されるカットオフ波長の伸展を評価する。
電極の再処理評価を実施する必要が生じ、試験計画に遅延が発生したため、当初予定していた光学フィルターの購入と、半導体ウェハ処理は次年度へ持ち越しとなった。
電極評価を終えたのちに、すみやかに、半導体ウェハ処理へ移行する。そのための半導体プロセス費などとして使用する。
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