宇宙磁場の3次元構造や銀河間空間の磁場を探るためのファラデートモグラフィ法の研究とソフトウェアの開発を行った。まず、ファラデートモグラフィの中でも基本的な手法であるQU-fit法の性能を調べるべく、視線上に2つの電波源がある場合を想定し、ファラデー深度や幅をパラメータとして様々なパラメータセットに対して観測データをシミュレーションし、QU-fit法を適用した。そしてどのような場合にQU-fit法が正しい答えを出すのか、どのような場合にうまくいかないのかを調べた。特に、電波源の数についてはファラデー空間上で接近していなくても上手くいかないことがあることがわかった。この結果は現在学術論文として投稿中である。
さらにQU-fit法よりも先進的なスパースモデリングを用いたファラデートモグラフィのアルゴリズムを開発し、基礎的な性能を調べた。まず、pythonによりスパースモデリングでファラデートモグラフィを行うコードを実装した。そしてファラデースペクトルのモデルを用意し、そこから作った模擬観測データにコードを適用することによってその性能を調べ、どのような制約項が良いのか、どのようなファラデースペクトルであればよく再現できるのかを調べた。この結果は現在学術論文としてまとめている。
また、次世代電波望遠鏡SKAの試験機であるMWAやASKAPのメンバーとして宇宙磁場に関する国際的な共同研究の議論を進めた。特に、銀河間磁場を探るためにはどのような周波数帯で観測するのが最適なのかを、シミュレーションにより見積もった。
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