研究実績の概要 |
Chern-Simons (CS) 重力理論とは、Einsteinによる一般相対性理論に、曲率テンソルの高次項を導入するものであり、超弦理論などの量子重力理論の低エネルギー有効理論として導くことが可能で有り、またダークマターの存在を仮定せずに、銀河渦回転速度に関する矛盾を説明することができる可能性がり、注目されている。本研究では、CS重力理論の検証実験を実現する手段として、光ファイバ干渉計を用いる方法についての検討を行うことを目的とした。当初、Phys. Rev. Lett. 109, 231101(2012) で提案されている、中性子干渉計における干渉状態の日周および年周変化の観測を、光ファイバを長さ50kmの光ファイバを、10m四方にループ状に1250回巻いたサニャック型干渉計を用いておこなうことを念頭とした。 本挑戦的萌芽研究において検討する中で、同様に干渉縞に影響を与える効果として Lense-Thirring (LT)効果が存在するが、CS重力理論によって予測される変化とは原理的には区別可能であるが、観測される位相変化の観測高度依存性や緯度依存性が重要と考えられることが、連携研究者らによって明らかにされた(Phys. Rev. D. 90, 064036 (2014))。また、検討を進める中で、当初モデルとした光ファイバジャイロにおいては各種散乱の影響によりリミットされ、必要な信号雑音比を得ることが困難であることがわかった。今後、固体リングレーザージャイロなどを用いた検証実験の可能性について、引き続き検討を進めたい。
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