既成品TDCのファームウェアを改造することにより、時間分解能を0.5マイクロ秒に低下させ、かつ計測時間ウィンドウを2ミリ秒にまで拡張したものを開発した。この改造により、一度に計測できる時間幅が大きくなり、観測効率の向上が実現した。そしてこのTDCを用いたよる可視光の光子到来時刻システムを構築した。 カード型小型PCであるRaspberry PiにGPSアンテナを接続し、同期することで1 us以下の絶対時刻精度を持つ時刻サーバを構築し、前述の光子到来時刻計測システムのデータ収集系をネットワーク経由でRaspberry Piと同期した。 周期的に点灯するかにパルサーを模擬したLED光を用いて、光子到来時刻計測システムの性能評価を行った。冬季観測気象条件を模擬した環境試験機内で装置を駆動させ、MPPCの熱雑音の中からLEDの周期進行を検出することに成功した。絶対時刻決定制度は10マイクロ秒程度であることも実証された。 そして冬季には実際の望遠鏡にセンサを搭載して冷却システムを稼働させ、LED光を用いた評価実験により-20℃以下にまで冷却できたことを確認した。実験室内ではなく実際の観測セットアップにおいて1光子の検出が可能であることを実証し、装置の開発が終了した。
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