研究課題
本研究の目的は、これまで測定されたことがない原子核の電気四重極モーメント(EDM)測定を目指して、蓄積リングにおける不安定核8LiのEDM測定実験の実現可能性の検討を行うことである。蓄積リングはホームグラウンドということもあり筑波大学応用加速器部門の6MVタンデム加速器(UTTAC-6MV)に設置することを考えている。不安定核のEDM測定には、不安定核の生成及び核偏極生成が必須である。平成27年度は、平成26年度に引き続き、不安定核の核偏極測定のためにβ線の非対称放出を利用した核磁気共鳴(β-NMR)装置の整備を行うとともに、平成28年3月から運転が開始されたUTTAC-6MVにおいて予備的な実験を行った。平成27年7月に大阪大学核物理研究センターでマシンタイムを行い、β-NMR装置のシステムチェックもかねて不安定核12Nの核偏極度測定、及び不安定核40Scの核磁気モーメントの探索を行った。これらの実験結果は現在解析中であるが、オンラインではいずれも有意な核偏極度は測定されず、我々のβ-NMR装置をさらに改良する必要があることが示唆された。平成28年3月には、UTTAC-6MVにおいて、β-NMR装置設置予定地点での、ビームサイズ及び一次ビームの輸送効率の測定を行った。ビームサイズは、直径約2mm、輸送効率はイオン源から約100%であり、β-NMR実験に適していることが確認できた。今後は、我々のβ-NMR装置の改良を行うとともに、UTTAC-6MVの運転が開始されたことにより、平成28年4月以降は、UTTAC-6MVで開発研究を続けていく。
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HYSICAL REVIEW C
巻: 92 ページ: 024608
http://dx.doi.org/10.1103/PhysRevC.92.024608
UTTAC Annual Report 2013
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