宇宙のdark matterの候補の中でほとんどの探索実験が狙っているのは、Weakly Interacting Massive Particles(WIMP)である。しかし、もうひとつaxion-like particles(ALP)やhidden photon(HP)のようなWeakly Interacting Slim Particles(WISP)とよばれる重要な候補がある。 Hidden photonとは、標準理論のSU(3)xSU(2)xU(1)対称性の外の「隠れた」U(1)対称性に対応するゲーシボソンのことである。このような追加の対称性は、標準理論を拡張する多くの素粒子模型において出現する。Hidden photonは通常の光子との間にkinetic mixingを持ち、hidden photonと通常の光子との間でニュートリノ振動と同様の振動が生じる。 我々は球面鏡を用いる新しい手法によりHPの探索実験を行い、光子とhidden photonの混合パラメータに対して既存のものより厳しい制限をつけることに成功している。探索したのは、質量eV程度の光学領域とおよそμeVの電波領域である。 このうち電波領域の探索では、球面鏡を用いる替わりに放物面鏡と平面鏡の組み合わせで同等な探索ができることを世界で初めて提案し実際に成功した。平面鏡がHP探索実験に使用できることを示したことで、さらに広い質量領域での探索実験への展望を開き、質量100μeV領域での HP dark matter探索が可能となった。
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