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2016 年度 実施状況報告書

宇宙論における新しい観測手段の確立

研究課題

研究課題/領域番号 26610062
研究機関東京工業大学

研究代表者

山口 昌英  東京工業大学, 理学院, 教授 (80383511)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2018-03-31
キーワード宇宙論
研究実績の概要

インフレーション中に生成される密度揺らぎのスケールは何十桁にも及びますが、宇宙背景放射の非等方性の観測により直接的に調べられているスケールはわずか数桁です。これは、まだ何十桁にも渡って未開拓なスケールが残っていることを意味します。このような未開拓の小スケールの密度揺らぎの情報を調べることは、揺らぎ自身の性質のみならず、インフレーションのダイナミクスを調べる、という観点からも極めて重要です。宇宙背景放射の揺らぎは、小スケールではdiffusion dampingにより減衰し、そこに貯えられていたエネルギーが開放される結果、音響再加熱と呼ばれる現象が起きます。この現象を、再結合近くのトムソン散乱が重要になる時期において調べました。トムソン散乱のみでは、光子の分布をプランク分布にすることは出来ず、y歪みと呼ばれるスペクトルの歪みが生じ、これに伴いエントロピーが生成されることを確かめました。また、トムソン散乱の結果、光子の粒子数は保存されますが、エネルギーは電子とのやり取りの結果として保存せず、これに伴い、超ハッブルスケールにおいて等曲率揺らぎが生成されることを示しました。また、曲率揺らぎに非ガウス性があると生成された等曲率揺らぎが大スケールでもパワーを持ち、現在の観測から小スケールの揺らぎの性質について制限を与えられることを示しました。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

CMB のスペクトルの歪みや大規模構造形成等の新たな観測手段について、新たな進展の可能性を発見し、その解析をまだ行っているため。

今後の研究の推進方策

引き続き、宇宙論における新しい観測手段を探し、その手法を確立することを目指す。

次年度使用額が生じた理由

研究計画遂行に必要な数値計算を行うポスドク研究員を次年度に雇うために経費の使用を若干控えたから。

次年度使用額の使用計画

研究計画遂行に必要な数値計算を行うポスドク研究員を雇う経費として使用。

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公開日: 2018-01-16  

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