研究課題/領域番号 |
26610066
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
長谷川 庸司 信州大学, 学術研究院理学系, 准教授 (70324225)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 放射線検出器 |
研究実績の概要 |
1.GEM(Gas Electron Multiplier)を用いた放射線検出器の試作のために必要なパラメータ(GEMの配置や印加電圧の設定値等)の最適化をシミュレーションを用いて行った。その結果に基づき、400μm厚のthick GEMと2種類の通常GEM(50μm厚または100μm厚)を用いた放射線検出器を作製した。放射線が入射した時のガス増幅による電気信号を測定しシミュレーションの結果と比較し、予想された性能が得られるかを検証している。 2.ガスの種類、波長変換材による収集光量の測定および光読み出し効率の最適化を行った。ガス増幅による蛍光の収集光量が多いほど発光位置測定の精度を高めることができる。ガスの種類については、アルゴン+メタン(アルゴン90%+メタン10%を基準)やアルゴン+炭酸ガス(アルゴン70%+炭酸ガス30%を基準)を用いて、基準値から混合比を変えながら紫外蛍光の収集光量の変化を見た。蛍光の収集と波長変換にはプラスチックシンチレータと波長変換ファイバを用い、光電子増倍管で収集光量の測定を行った。評価方法としては、ガス放射線検出器には多線式比例計数箱を用い、ガス増幅によるワイヤからの電気信号とガス増幅中で発生する紫外蛍光を同時に観測し、ワイヤへの印加電圧を変え、観測される電気信号の大きさと収集光量の相関をみた。蛍光読み出し部の収集効率が低いため絶対光量が少なく、電気信号と収集光量に弱い相関が見られるが、混合ガスの違いや混合比の違いによる有意な相違は見られなかった。これは、蛍光収集のためのプラスチックシンチレータと波長変換ファイバの収集効率が低いことが原因である。シミュレーションを用いて収集効率を高める形状や配置を最適化して評価を行なっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1.GEMを用いた放射線検出器を作製し、放射線を入射した場合の電気信号を測定しているが、ノイズの影響が大きく、シミュレーションで期待される性能が未だ得られていない。 2.プラスチックシンチレータと波長変換ファイバを用いた蛍光収集システムは収集効率が低いため、紫外蛍光の測定システムの改善が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
1.GEMを用いた放射線検出器の電気ノイズの影響を低減するため、ノイズの発生源を特定する作業を行なう。 2.紫外蛍光の収集効率を高めるため、シミュレーションを用いて蛍光収集部分の形状や配置を最適化して評価を行う。無機シンチレータを小型半導体光検出器を直接接合したコンパクトな蛍光収集および光信号読み出しシステムを作製し収集効率を高める。 3.無機シンチレータについては、LYSOとLFSに加えて、自己放射能がないGAGGを用いて行う予定である。散乱γ線の検出には背景事象の少ない無機シンチレータが望ましい。GAGGは密度が低くγ線の検出効率はやや低くなるが、低背景事象のため、S/NはLYSO等と比べて向上する可能性がある。 4.プロトタイプコンプトンカメラの製作を行う。10cm×10cmのthickGEMと、無機シンチレータ64個(縦8個×横8個)のシンチレータアレイを作製し、荷電粒子線(宇宙線、テストビーム等)を用いて、荷電粒子の位置測定を、電気信号読み出し及び光読み出しの両方で評価を行う。その後、γ線源を用いてコンプトンカメラとしての性能評価(入射方向の測定精度、検出効率、視野等)を行う。
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