これまでに照射された原子核乾板を最新の自動飛跡読取装置HTSで読み取り、記録された飛跡情報を全てデジタル化して利用しやすい環境にデジタルデータとして保存すると共に、原子核乾板を用いたニュートリノ研究CHORUS、DONUT、OPERAならびに気球搭載大口径γ線望遠鏡実験GRAINEの為に開発された最新のオフラインプログラム群を用いて解析し、原子核乾板が記録している物理情報を引き出せるだけ引き出そうという計画の第一弾として開始したものである。 最終年度は気球実験RUNJOBの乾板の実際の読み出し評価、また2000年代初頭にFermlabで行ったニュートリノ実験PEANUTの読み取り解析を行った。RUNJOBの乾板は1990年代に用いられた標準的なものであるが、HTSで読み取るためには乾板の膜厚を調整する必要があった。様々な濃度のグリセリン溶液に浸す時間振ることで調整を行い、読取に十分な膜厚>60μmにする条件を見出す事が出来た。実際に飛跡を読取、その検出効率の確認も行った。またPEANUTの乾板はOPERA型乾板であり、これも読取に十分な膜厚にする条件を見出し、実際に照射された93枚の乾板の読取を行った。このデータセットを用いて一部解析を行いニュートリノ反応点の同定に成功した。
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