研究課題
本年度は、電子スピン位相緩和時間計測システムによる、NV中心の電子スピン操作を実現し、イメージングや実際の試料の発熱をどの程度の感度や応答速度で検出可能かについて定量的な評価を行う事を目標とした。その結果、ダイヤモンドナノ粒子中に存在する単一窒素欠陥(NV)中心が示すコヒーレントなスピン信号の計測に成功した。NV中心のスピンが示すラビ振動を計測し、それより割り出されるπパルス、π/2パルスを用いてスピンエコー測定を行った。その結果、現在使用中のナノダイヤモンドに存在するNV中心は位相緩和時間が0.5~10マイクロ秒の範囲でばらついている事が明らかになった。また、ナノ粒子を均一に基板上に分散させるのに必要な粒子サイズの均一化に関しては、購入したダイヤモンドのナノ粒子を遠心分離器でさらに分画する取り組みも行った。これに合わせてダイヤモンド表面に存在するグラファイト層を強酸(硫酸、硝酸、過塩素酸)で除去する作業も行い、位相緩和時間の平均的な増加とスピン信号コントラストの増加という結果を得た。これにより温度検出の感度増加が期待される。これらの成果発表に関してはデータの詳細な解析や共同研究者との議論を行う必要があったため当初の年度内発表計画を変更し、次年度秋に開かれる物理学会もしくは応用物理学会での発表に切り替えた。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件) 備考 (2件)
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http://www.kg-applchem.jp/hashimoto/
http://masazumiwork.wix.com/scientist-site