研究課題/領域番号 |
26610078
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
上原 洋一 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (30184964)
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研究分担者 |
桑原 正史 独立行政法人産業技術総合研究所, 電子光技術研究部門, 上級主任研究員 (60356954)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | THz-STM発光 / ピコ秒の時間分解能 |
研究実績の概要 |
本研究計画の目的は、STMの試料-探針ギャップにピコ秒レーザーを照射した際のTHz-STM発光特性を明らかにすることにより、可視域でのSTM発光で実施されているポンプープローブSTM発光分光(ピコ秒の時間分解能のSTM発光計測)がTHz-STM発光でも可能であることを示すことにある。 実施計画に従い、STMの試料-探針間にポンプ光とプローブ光を照射するための光遅延回路を含むレーザー光の照射系を本研究経費で準備し、実験を開始した。 また、THz域でSTM発光の効率が高いと期待される試料材料をFDTD法に基づくシミュレーション計算により探索した。その結果、THz-STM発光の強度は試料材料依存性が極めて強いことがわかった。様々な材料について計算を行い、通常のSTM発光でTHz発光が確認されているSb2Te3は比較的強いSTM発光を示すことやAuはさらに強いTHz-STM発光を示すこと等が見いだされた。このような知見は実験を効率的に行うために極めて重要である。 Sb2Te3試料系については、可視域におけるポンプ-プローブSTM発光分光の結果の解析を行った。その結果、ポンプ光の照射後1ピコ秒でSb2Te3のバンド構造やフォノンのエネルギーが大きく変化し、照射後10ピコ秒程度で緩和することがわかった。この知見自体は可視域でのSTM発光に関するものであるが、Sb2Te3のレーザー照射に伴う物性変化の様子が明らかになったことは、本研究にとっても有用な知見である。 研究の現状は、THz計測に用いる液体ヘリウム冷却Siボロメーターのダーク信号の揺らぎが大きく、結果の解釈を慎重に行っている段解である。実験データーを蓄積し、明確な結論を得るべく研究を推進する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
まだ明確な実験的結論は得られていないが、もともとTHz-STM発光計測に用いる液体ヘリウム冷却のSiボロメーターはダーク信号の揺らぎが大きく、容易な計測だとは予想していなかったので遅延だとは考えていない。実験システムが完成し、試料系に対する見通しも得られているので、概ね順調だと判断している。
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今後の研究の推進方策 |
可視域でのSTM発光でも同様であるが、THz-STM発光は試料や探針の材質、形状だけで決まるのではなく、その表面状態にも強く依存する。従って、理論計算に基づき最適化された試料材質や探針形状で計測を行った際に期待されるレベルの信号強度が得られなくても、実験方法が不適切であるとの判断には直結しない。本研究のように参考にすべき先例がない場合には、先ずは多くの計測実験を行い、その中から研究の方向性を決定して行く。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画ではTHz-STM発光の分光までを行う計画であったが、そこまで実験計画が進まなかった。このため、分光用のフィルターに充てる費用を次年度に繰り越した。
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次年度使用額の使用計画 |
フィルターの購入に充てる。
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