最近、開発されたベクトル整形パルス発生法では、光の電場の二つの偏光方向の位相をコントロールし、時間軸上で任意電場パルス波形を発生させることが可能となった。本研究ではこの手法を用いて、直線偏光の向きが時間経過にともない回転するねじれ偏光パルスを、ねじれのTHz帯の周期で生成し、無磁場下の二次元電子系試料に照射して、その効果を調べた。その結果、軌道の角運動量空間での非平衡分布を生じ、試料端近傍を光励起した際に生じる光電流がねじれ偏光パルスのねじれの向きの正負に対して非対称であることを見いだした。本研究は、系の時間反転対称性が破れに起因する新規な光―物質相の開拓のためのさきがけとなった。
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