研究課題
本研究では、量子光学分野で研究が行われてきた二光子量子干渉を、分光計測分野で確立されているフーリエ変換分光と融合させ、単一光子レベルでの非線形分光法として確立することを目的に研究を行った。研究初年度には、非線形結晶中の自発パラメトリック下方変換過程(SPDC)を経て生成された二光子に対し、そのスペクトル特性を、1)分光器を使った通常の古典的スペクトル計測、2)狭帯域の波長可変バンドパスフィルターを利用した二光子スペクトル計測、3)差周波型および和周波型二光子量子干渉計測により測定を行い、全てに手法で測定された結果で同様のスペクトル分布が得られた。その結果、二光子量子干渉が高次のフーリエ変換分光として利用可能であることを示した。最終年度は、量子もつれ光子の位相制御を行い、位相変化が二光子量子干渉波形に及ぼす影響を測定した。前年度の研究では、二光子周波数スペクトルの強度分布のみに着目していたが、最終年度の成果は、二光子量子干渉波形の位相情報から、二光子の強度分布だけでなく、スペクトル位相が推定できることを意味している。これらの結果から、二光子量子干渉に対する理解を深めると共に、分光計測手法としての二光子量子干渉の可能性を深化させることに成功した。また、二光子量子干渉を利用した分光計測の実証実験として、CuCl単結晶中の励起子分子共鳴状態を経て生成された二光子に適用するための技術開発を行った。実験では、二光子を安定的に観測する技術開発を行い、集光条件が厳しい単一モードファイバを使っても従来の報告より百倍以上の高い検出効率が得られていることを確認した。
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Optics Express
巻: 23 ページ: 28836-28848
10.1364/OE.23.028836