研究課題
本研究はVUVからSXまでの広いエネルギー領域でマイクロフォーカス放射光を利用可能なあいちシンクロトロン光センター (あいちSR) BL7Uにおいて、機能性発現メカニズム研究において重要な準粒子バンド構造を直接観測する高分解能角度分解光電子分光と実空間μmドメイン構造を元素選択して明らかにするマイクロイメージングを組み合わせることで、これまでほとんど明らかになっていない「微小領域の実空間表面構造が機能性と電子状態にどのような影響を与えるのか」を解明するVUVSXマイクロイメージング分光という新たな実験方法論を構築することを目的とする。目的を達成するために平成27年度はビームライン整備およびイメージング分光測定用のソフト開発を主として行ってきた。まず、前者については、分光光学系の調整を行い、アンジュレータギャップとエネルギーの関係について厳密な校正を行なった。その結果、試料測定位置における光フラックスを、平成26年度末と比べて2~3倍程度まで向上させることに成功した。また、試料位置におけるスポットサイズについてもある程度の改善が見られた。次に、後者については、LabVIEWベースの試料位置二次元走査用ソフトの導入を行い、吸収端XAS実空間イメージング測定系の開発を行なった。この開発により、試料表面上において100 X 100μm2 領域の空間ドメイン単位に分解した化学結合状態の変化とそれに対応する測定位置におけるARPES測定結果を組み合わせた「VUVSXマイクロイメージング分光」の実現に成功した。一方で、共鳴PES強度実空間イメージング測定系については、あいちSR BL7Uユーザー利用数の著しい増加による調整時間の不足などにより、自動イメージング測定の段階までは現状至っていない。光電子強度シグナル同期系については、平成28年度中旬の導入を目指している。
すべて 2016 2015 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
PHYSICAL REVIEW B
巻: 93 ページ: 024503
http://dx.doi.org/10.1103/PhysRevB.93.024503
2014 IEEE 40th Photovoltaic Specialist Conference (PVSC)
巻: 40 ページ: 2882-2885
10.1109/PVSC.2014.6925534
http://profs.provost.nagoya-u.ac.jp/view/html/100000087_ja.html