研究課題/領域番号 |
26610089
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
飯田 琢也 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (10405350)
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研究分担者 |
床波 志保 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60535491)
児島 千恵 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50405346)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 光物性 / 表面・界面物性 / 流体工学 / 分析科学 / 薬学 |
研究実績の概要 |
生体分子検出の課題に関して、実サンプルを用いた実験結果の吟味を行った。具体的には、アルブミンを主成分とする卵白と、リポビテリンを主成分とする卵黄を希釈した分散液に球殻状銀ナノ粒子集積構造体を導入してレーザー照射することで、マイクロ領域であっても卵黄の方が早く熱凝固することが明らかとなった。これは、熱応答特性の違いによって生体物質の種類の違いを検出できる可能性を期待させる成果である。 さらに、水中に分散した球殻状銀ナノ粒子集積構造体にレーザー照射をすることでマクロな光誘起バブルが発生することは初年度に明らかにしていたが、その寿命が条件によっては30分以上に及ぶことを明らかにした。また、集積構造体の濃度によって、その安定性が変化することも分かった。これは本研究の目的の一つでもあった「プラズモニック・ベシクル」の安定化に向けた大きな前進であると考えている。 さらに、金ナノ粒子を内包した有機高分子から成るナノカプセルの分散液にレーザー照射することで、狙った場所への高密度集積にも成功し、ドラッグ・デリバリーシステム(DDS)のハイスループット化に適用できる可能性を明らかにした。また、金ナノ粒子とマイクロ粒子の混合系にレーザー照射することで、マクロな集合体を形成できることも明らかにした。さらに、ポルフィリン系の分子を有機溶媒に分散した液滴を光吸収性基板上に滴下してレーザー照射した場合に、光誘起バブルの周囲に数十μm以上の大きさのマクロな結晶構造が形成して放射状に配列することも明らかにし、照射前に比べて光学的特性が明瞭に変化することも分かった。 これらの成果は、主題でもあるフォトサーマルフルイディクスの新分野開拓に繋がる多数の重要な知見を与えるものであり、バイオ分析やDDS、化学合成など広範な分野への応用可能性と多大な波及効果を期待させるものである。
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備考 |
<メディア発表>月刊「コンバーテック」2016年2月号.月刊「Solvisto」, 2015年5月号, p.30-31.日経産業新聞(8面)、他5件 <受賞>若手講演ポスター賞、第75回分析化学討論会(2015年5月, 於:山梨大学甲府キャンパス)受賞論文:「金属ナノ粒子-マイクロ粒子混合系における高速光集積現象と分析応用」発表者:宮井萌、山本靖之、西村勇姿、床波志保、飯田琢也 [受賞者:宮井萌]
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