第二種超伝導体においては、外部磁場が内部を貫通し局所的に超伝導状態を壊すことでその周りを超伝導電流が渦のように流れる超伝導ボルテックスが生じる。本研究では、超伝導ボルテックスの流れによるスピン流の創成を目指して研究を行った。試料としてs波超伝導体やd波超伝導体の薄膜と強磁性絶縁体薄膜の超伝導|強磁性二層膜を作製し、温度勾配やマイクロ波照射による超伝導体へのスピン流注入実験を行った。超伝導体内に注入されたスピン流をスピン流-電流変換現象を通じて電気的に検出したところ、超伝導状態に特有の電気信号が観測された。この信号が超伝導ボルテックスと関係していることを示し、物理的機構を詳細に検討した。
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