次世代のクリーンなエネルギー社会へ向けて、水素から電気エネルギーを取り出す燃料電池に注目が集まっている。現在、この燃料電池のプロトン伝導の電解質として、液漏れがなく、環境調和型で、中温域に用いられる無水の有機固体プロトン電解質の研究が必要とされている。本課題では、無水酸-塩基型純有機プロトン伝導体として、イミダゾール・ジカルボン酸の共結晶に注目した。そのグレイン領域を含まないバルクの本質的なプロトン伝導性と、結晶構造との対応の結果より、プロトン伝導性には、多次元水素結合ネットワークが大きく寄与していること、また、両者のpKa差が小さいほど伝導度が良いことを明らかにし、物質開発指針を提案した。
|