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2015 年度 実績報告書

結晶カイラリティの外場制御に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 26610103
研究機関大阪大学

研究代表者

木村 健太  大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (70586817)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2016-03-31
キーワード物性実験 / 強相関電子系 / カイラリティ / フェロイック
研究実績の概要

結晶カイラル秩序が別種の秩序と共存する系を対象として、外場による結晶カイラリティ制御の可能性を検証した。結晶カイラリティと強弾性秩序が共存するCa2Sr(C2H5CO2)6に着目し、一軸応力印加下におけるドメイン構造観察を行ったところ、強弾性ドメインスイッチングに伴う結晶カイラリティの反転を確認した(この現象は40年前に報告されていたが、根拠となる実験データは示されていなかった)。さらに、カイラリティ反転が強弾性ドメインスイッチにおける原子変位量の観点から説明可能であることを明らかにした。
物質探索の過程において、新規カイラル化合物群ABCu4P4O17(Aはアルカリ土類元素、Bは遷移金属元素)の開発に成功した。さらに、Aサイト元素の違いのみによって結晶中のカイラルドメインの形成様相が劇的に異なるという結果を得た。有機化学の分野で20年前に提案されたContinuous Chirality Measures法によりカイラリティ強度を計算したところ、Aサイト元素の違いに起因するカイラリティ強度とドメイン出現頻度に明確な相関があることを見出した。このことは、有機化学の分野で先んじて導入された「定量的カイラリティ強度」が、固体結晶を扱う物性科学においても重要な概念となり得ることを示す萌芽的成果である。
以上のように本研究は、結晶カイラリティが別種の強的秩序と交差相関を持つ特殊な場合には、その強的秩序ドメインの外場スイッチを介した結晶カイラリティ制御が可能であることを示した。交差相関を持たない一般の場合におけるカイラリティ制御は今後の課題である。また、新規開発したカイラル化合物群の研究により、物性科学においても定量的カイラリティ強度が重要な概念になり得ることを示した。今後は、新たに採択された基盤Cにおいて、定量的カイラリティ強度を軸としたカイラリティ制御の研究、および、カイラル物質の理解に関する研究を推進していく。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2016

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] A2+ Cation Control of Chiral Domain Formation in A(TiO)Cu4(PO4)4 (A = Ba, Sr)2016

    • 著者名/発表者名
      Kenta Kimura, Masakazu Sera, and Tsuyoshi Kimura
    • 雑誌名

      Inorganic Chemistry

      巻: 55 ページ: 1002-1004

    • DOI

      10.1021/acs.inorgchem.5b02622

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] 新規S=1/2擬二次元カイラル反強磁性体の磁性と誘電性2016

    • 著者名/発表者名
      世良正一,木村健太,赤木暢,萩原政幸,中野岳仁,野末泰夫,木村剛
    • 学会等名
      日本物理学会2015年秋季大会
    • 発表場所
      大阪市大(大阪府大阪市)
    • 年月日
      2016-09-16 – 2016-09-19
  • [学会発表] カイラル強弾性体における結晶構造カイラリティの一軸圧印加効果2016

    • 著者名/発表者名
      上田大貴,木村健太,山内邦彦,木村剛
    • 学会等名
      日本物理学会2015年秋季大会
    • 発表場所
      大阪市大(大阪府大阪市)
    • 年月日
      2016-09-16 – 2016-09-19
  • [学会発表] Crystallographic chirality and magnetoelectricity in a new family of chiral magnetic insulators2016

    • 著者名/発表者名
      Kenta Kimura
    • 学会等名
      Indo-Japan Conference
    • 発表場所
      Bengaluru, India
    • 年月日
      2016-03-28 – 2016-03-30
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 結晶学的カイラルドメイン形成のカチオン制御2016

    • 著者名/発表者名
      木村健太,世良正一,木村剛
    • 学会等名
      日本物理学会第71回年次大会
    • 発表場所
      東北学院大(宮城県仙台市)
    • 年月日
      2016-03-19 – 2016-03-22
  • [学会発表] S=1/2擬二次元カイラル反強磁性体A(TiO)Cu4(PO4)4 (A = Ba, Sr)の磁性と誘電性2016

    • 著者名/発表者名
      世良正一,木村健太,赤木暢,萩原政幸,三宅厚志,徳永将史, 松尾晶,金道浩一,中野岳仁,野末泰夫,木村剛
    • 学会等名
      日本物理学会第71回年次大会
    • 発表場所
      東北学院大(宮城県仙台市)
    • 年月日
      2016-03-19 – 2016-03-22

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公開日: 2017-01-06  

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