本研究では、粒子性を伴った渦状のスピン構造体「スキルミオン」の共鳴振動を駆動することで、量子力学的なベリー位相に由来して伝導電子が感じる創発電場(スピン起電力)を実験的に検出することを目的としている。70ナノメートル程度の直径のスキルミオンを伴ったキラルな結晶構造の強磁性金属FeGeに焦点を絞って、磁気共鳴と同じ周波数で発現するスピン起電力の測定を試みた。この結果、スキルミオン磁気相において、磁気共鳴の条件下においてのみ、実際に50μV程度(電極間距離は10μm、磁場振幅は1Oe程度)の起電力が発現することを発見した。この大きさは、理論的に予測されている値と概ね符合する結果となっている。
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