ゆらぎのスペクトルにピークがない「乱れ」と並進対称性の破れである「結晶」は数学的には別の概念であり、両者が共存する状態は「乱流結晶」と呼ばれている。本研究課題では、時間並進対称性と空間並進対称性について、乱流結晶を示す模型をできるだけ多く構築し、分類することを目指した。その結果、ゆらぎのスペクトルが連続のまま時間並進対称性を破る模型を2例構成し、それぞれ論文で公表した。それらは時系列アンサンブルにおけるレプリカ対称性の破れを示している。空間並進対称性に関しては、有力な候補を見出したが最後まで詰め切ることができなかった。
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