液体-液体相転移に付随したゆらぎが系の熱力学物性に及ぼす影響を、非弾性X線散乱(IXS)と超音波法の併用による音速測定によって調べた。 水-メタノール混合系では、超音波音速(v_US)には組成依存性に極大が観測されるなどの異常が現れたが、一方でIXS音速(v_IXS)は組成・温度に対してほぼ直線的な変化を示した。この結果、系の「ゆらぎ」(=緩和強度=v_IXS/v_US)が低メタノール濃度・低温ほど大きな値を示すことがわかった。これは本系の熱力学異常が、水(単体)の低温域に存在するとされる液体-液体相転移に由来することを示唆する。
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