研究課題
本研究の基本目的は、一定の複雑さを内包する要素からなる集団の運動--主としてアリの集団行動―を行動実験、データ解析、理論モデルの作成と解析、化学分析などの手法の組み合わせにより、定量的に考察し、個の運動や機能と集団としての運動や機能の中に非自明な関係を見いだし、その本質的機構を抽出・記述することである。研究期間を通して、我々はコロニー内の全てのアリにID付き微小チップを貼付し、巣と採餌アリーナを結ぶゲート通過時刻を自動計測する、新しい長時間個別活動自動計測システムを開発することに成功した。その結果、i)従来広く信じられてきた、アリの活動度の個体間の差異が、時間的に固定されているのではなく、時間的に変化すること。ii)各個体の活動度の変化がコロニー内の個体ごとに独立に起こるのではなく、「ある日を境に活動メンバーがまとまって入れ替わる」などの協調的活動度変化が見られること。が明らかになった。これらの結果は、複数の国際会議で発表し会議録に掲載された。さらに、多くの関連学会で発表した。並行して、アリの複雑な集団的運動を部分的に模倣すると期待される微小生物系(ミドリムシ)無生物系(水面に浮かべた樟脳粒子系)の自己駆動粒子系に関して、それぞれ新しいタイプの集団運動を発見した。とくに前者に関しては、光に関する感受性を調べ、ミドリムシの集団運動と走光性の関係に新しい知見を与えた。後者に関しては、アリ集団と同様の集団的間欠運動の起源を部分的に明らかにした。前者については国際誌に論文が掲載され、後者については関連学会で発表された。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 2件、 招待講演 3件)
PLOS one
巻: 11 ページ: e0168114
https://doi.org/10.1371/journal.pone.0168114
Nonlinear Theory and Its Applications, IEICE
巻: 7 ページ: 66-75
DOI: 10.1587/nolta.7.66
昆虫と自然
巻: 51 ページ: 39-41
巻: 51 ページ: 36-38