個々が単純な情報処理しか出来ず、全体を統括するリーダーもいないアリ集団が、なぜ、状況に応じて複雑な協調運動や可変的役割分担を行い、高度な機能を持ちうるのかを、採餌に関する定量的実験と数理モデリングによって検証した。その結果、次のことが判明した: 1.同一コロニー内のアリに採餌頻度に関する階層が存在する。2.コロニーから採餌頻度の高いアリの集団を取り除いた場合、コロニー内に残ったアリが採餌活動を補填する。3.採餌頻度の順位付けは、短期間では大きく変化しないが、長期間では大きく変動する。このことは、従来広く信じられてきた反応閾値モデルの見直しを要請する。
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