研究課題/領域番号 |
26610118
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
細川 伸也 熊本大学, 大学院自然科学研究科, 教授 (30183601)
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研究分担者 |
石川 大介 公益財団法人高輝度光科学研究センター, その他部局等, 研究員 (00391855)
下條 冬樹 熊本大学, 大学院先端科学研究部, 教授 (60253027)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 液体金属 / 表面 / ダイナミクス / フォノン |
研究実績の概要 |
本課題では、単純な液体である液体金属表面に、ナノメートル、ピコ秒の距離時間スケールで現れる、縦波音響、横波音響、光学など、さまざまな音波モードを、X線非弾性散乱(IXS)によって観測し、原子の振動や拡散について表面特有の特殊な性質を明らかにすることを目的とする。 昨年度は、液体金属の清浄表面を原子レベルで達成するために、超高真空容器にサファイア薄板X線透過窓、あるいは電流導入端子、熱電対導入端子などを組み合わせた実験装置を組み上げた。さらに既存のターボ分子ポンプやイオン・ポンプ、電離真空計などを組み合わせて超高真空を達成できる条件を整えた。 本年度は、低融点、低蒸気圧金属であるガリウムを対象として、超高真空下で液体清浄表面を作成するテストを行った。その結果、以前より予想していたことではあるが、超高真空下で金属を融解することは可能であるが、表面に付着する酸化物を取り除くためには、真空容器に直線・回転導入装置などを接続して、力学的に表面不純物を除去する必要があることがわかった。現在、主力真空ポンプであるイオン・ポンプに、昨年度に続いて不具合が生じており、修理を行っている。 液体中の横波音波モードの存在の研究は、外国、特にヨーロッパ諸国の研究者の評価が高く、執筆した論文の引用は多い。本年度は単純金属に加え、金属ガラスを作る複雑な金属間化合物の結果も国内外の学会で公表した。この研究はドイツ・マルブルク大学と共同で行っており、そこで学位を取得した博士研究員を今後、JSPSあるいはフンボルト財団などの助成で、日本で研究に参加できるよう、申請を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予定では、すでに本年度には超高真空条件下で液体金属清浄表面が作製されているはずであった。しかしながら、予算が限られているため、直線・回転導入装置が予定どおり購入できなかったこと、およびイオン・ポンプの再度の故障のため、少し時間を必要としている。
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今後の研究の推進方策 |
1. 修理を終えたイオン・ポンプおよび新たに購入する直線・回転導入装置を用いて液体金属の清浄表面を達成する。 2. 容器をSPring-8のBL35XUビームラインに持ち込み、X線を用いたテストを6月に行う。 3. ビームタイムを得るために課題申請を行う。 4. 上記の実験を成功させるには、消耗品費などの費用は本課題ではまかなえないと思われるので、さらなる外部資金の獲得を目指す。
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