本研究は THz~サブ GHz 領域の低周波帯において動作する準波長可変単一光子源の可能性を追求することを目的として行われた。これを実現する中心的プレイグラウンドとして磁気光学トラップ(MOT)中に生成・捕獲された極低温 ルビジウム(Rb)Rydberg 原子を据え、そこに特徴的に出現するとされるダイポールブロケード効果を利用することで単一励起原子を生成し、単一発光を誘起することを計画した。 本年度ではまず、極低温 Rydberg原子にブロケード効果を誘発するために必要な 480 nm 発振シングルモードレーザーシステムの開発を終了した。具体的には、外部共振器型 960 nm 発振ダイオードレーザーを作成し、その性能試験を行うと同時に、960 nm シングルモード出力を、我々が設計・作成したボウタイ型共振器に導入することで、高出力のシングルモード 480 nm 光の発振を確認することを行った。 同時に MOT 中に挿入するファブリーペローマイクロ波共振器と MOT トラップ及びリポンプ用レーザー光との幾何学的配置に関する最適化を、光学システムの改良により遂行した。 さらに、補助的なものとして、原子の高励起 Rydberg 状態の励起のための新しい方法を考案し、それを実証する実験を行った。 また、 Rb 原子が関与する非線形光学現象の観測実験及び観測結果の数値的考察を行い、a新しい光源として利用する可能性が示唆された。その他、Rydberg 状態にある高密度 Rb ガスに低周波光が透過する場合に起こり得る幾つかの非線形光学現象についての考察も行った。
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