次世代シーケンサによりソリトン株であるKI-5株、KI-10株及びそれらの親株であるXP55株それぞれの全ゲノム配列を決定し、それぞれ約2.4 x 107、2.6 x 107、2.1 x 107リードの配列、total bpsとしてはそれぞれ、6.0 x 109、6.6 x 109、6.1 x 107の塩基数の配列を元にbowtie2およびbwaによる相互マッピングを行い、一塩基多形(SNP)解析を行った。その結果、親株XP55とタンパク質コード領域において塩基配列の異なる箇所が、KI-5において75箇所、KI-10においも75箇所見出された。これらのうち、74箇所がKI-5とKI-10に共通の変異であることが分かった。さらに、KI-5株、KI-10株それぞれのソリトン現象前後での遺伝子発現の大規模解析の結果、ソリトン現象後において16倍以上発現量が増加している遺伝子はKI-5において105遺伝子、KI-10において19遺伝子存在することが判明した。逆に、ソリトン現象後において16倍以上発現量が減少している遺伝子はKI-5において384遺伝子、KI-10において57遺伝子存在することが判明した。これらのうちで、KI-5株とKI-10株に共通する遺伝子は、16倍以上増加するもので6遺伝子、16倍以上減少するもので24遺伝子であった。 変異の見つかった遺伝子のうちソリトン表現型に対する責任遺伝子同定のため、対応する正常12を発現ベクターに組み込み、ソリトン株に発現した。その結果、一つのものについてソリトン形質に影響があることが判明した。その遺伝子の分子機能はこれまで報告がなされておらず、現在分子生物学的手法により遺伝子機能の解析を行っている。
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