細胞をバネでつながった多数の粒子の集合体として表現し、基板上での細胞の形状変化と遊走運動を表現可能な力学モデルを構築した。具体的には、モータータンパク質であるミオシンが司る細胞の収縮と、接着分子が司る基板への接着とをモデルに組み込み、前者により形状変化を、後者により基板との相互作用を表現した。さらに、ミオシンやPIP3分子の時空間的な濃度変化を追跡するために、細胞膜上での興奮反応を導入した。これにより、分子の反応という分子スケールのダイナミクスから、形状変化と遊走運動という細胞スケールのダイナミクスへと階層をまたぐ、これまでにない非自明な力学モデルの構築に成功した。
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